岡ノ谷研究室(帝京大学)

音声コミュニケーションから心の起源へ
帝京大学 岡ノ谷研究室

私たちは、それぞれが心をもっています。心はどのようにできたのでしょう。動物たちも、もしかしたら植物も、人工知能も心をもっているかも知れません。心がどうやってできたのかを知るために、まずは音声コミュニケーションの研究をしています。自分の心を振り返るのは音声じゃないかなと思うからです。

お知らせ

野中さん勤続20周年
野中さんの勤続20年を祝いました。昼食ソフトドリンク宴会でしたが、現役・OBOGがたくさん集まってくれました。「みんな、云っとくがな、ラボ運営はつらいし、研究費落ちるのってみすぼらしいよ んだから掴まえろよ ラボ仲間をな 信じあうってのを その間にな」(この詩はラングストン・ヒューズの「助言」のもじりです。
大学院生・学振特研・共同研究者募集
岡ノ谷研究室では、一緒に研究してくださる方を募集しています。こちらの正式な学生としては、帝京大学大学院データサイエンス応用プログラム(修士課程)・医療データサイエンスプログラム(博士課程)があります。学生から社会人まで、興味がある方は連絡ください。詳細は下のボタンからリンクを辿って下さい。他大学からの外研も受け付けます。学術振興会特別研究員(DC,PD)の受け入れ先も引き受けます。
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ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。

教授

岡ノ谷一夫と申します。帝京大学先端総合研究機構・教授です。動物の心、自分の心を知りたくて研究しています。音声コミュニケーションが中心です。心は音でできていると思います。自分の心のことを考えてみて下さい。きっと声や音楽が聴こえてくるでしょう。だから、音楽の演奏も好きです。抱えているのはバロック・リュートという楽器です。
1982 慶大文学部卒
1989 メリーランド大心理学研究科修了、Ph.D.
1989-1994 上智大、農水省、慶応大で博士研究員
1994-2004 千葉大文学部助教授(認知情報科学)
2004-2011 理研脳センターチームリーダー(生物言語)
2010-2022 東京大総合文化教授(認知行動)
2022- 現職
エルゼビア科学者ランキング上位1%(1千万人中)
h指標 = 59 

研究内容

小鳥、ラット、サル、人間を対象に、音声コミュニケーションの研究をしています。コミュニケーションは、相手の動作をなぞること(模倣)、相手と心を通じさせること(共感)、そして一緒にいて楽しいこと(報酬)が必要です。そうした機能が脳でどう実現されているのかを知りたいです。さらに、コミュニケーションをとおして心が形作られるしくみを知りたいと思います。

人々(写真は参考程度)
学振焼肉 Feb.26, 2024

教員
 岡ノ谷一夫(教授)
 柳原真(講師)
 斉藤優実(特任助教)
研究員
 井上陽一(研究嘱託)
 外谷弦太(東大熊谷研・共同研究者)
 鎌谷美樹(博士研究員)
 柴田ゆき野(博士研究員)
 吉田伊織 (研究員)
 野中由里(研究補助)
 今成愛(研究補助)
博士課程学生
 陳微
 輿石りせる(東大柳原研)
 古谷明梨 (社会人学生)
修士課程
 和田玲央(東大香田研)
 鈴木祐佳(東大小池研)
 

共同研究者・過去の在籍者等々(漏れてたら連絡して)

OBOG 大学関係
凡例 氏名 現所属(岡ノ谷研在籍時・職階)
相馬雅代 北大 (理研・大学院外研)
西川淳 北大 (理研・ポスドク)
細田千尋 東北大 (東大・ポスドク)
鈴木研太 日医科大 (理研・技術員)
結城笙子 東京大 (東大・院生)
戸張靖子 麻布大 (千葉大・院生)
中谷裕教 東海大 (理研-東大・ポスドク-助教)
有本 千葉工大  (ERATO・ポスドク)
関義正 愛知大学 (千葉大-理研-駒場・学部-院生-PD-助教)
尾島司郎 早大 (東大・ポスドク)
小林耕太 同志社大 (千葉大・学部-院生)
上北朋子 京都橘  (理研・ポスドク)
藤村朋美 同志社大 (ERATO・ポスドク)
松本結 東大(東大・院)
藤井朋子 早大(東大・院)
近藤聡太郎 慶大(東大・院)
博多屋汐美 琉大(東大・院)
共同研究者
和多和宏 北大
戸張靖子 麻布大
Cedric Boeckx Barcelona
Tecumseh Fitch Wein
Simon Kirby Edinburgh
Stephanie White UC
Terry Deacon UC


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OBOG 研究所関係
片平健太郎 産総研(千葉大-理研-東大 学部-PD-助教) 
橘亮輔 産総研 (東大 PD-助教)
高橋美樹 理研 (千葉大-理研-東大 学部-院生-PD)
OBOG企業(研究関連)
渡辺純子 リクルート(千葉大・学部)
大杉直哉 文科省(千葉大-東大・学部-院)
上村卓也 NTT (東大・院)
古谷明梨 住友金属鉱山(東大・院)
南井まり佳 コンサルティング(東大・院)
宇田川笑美 SONY (東大・院)

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動物たち

ジュウシマツ
ジュウシマツは野生のコシジロキンパラを270年にわたり家禽化して作られた鳥です。コシジロキンパラは単純な歌をうたうのに、ジュウシマツは複雑な歌をうたいます。この2亜種の比較から、家畜化という急激な進化のしくみがわかります。
ラット
ラットは快だと50kHzの高くて短い音を、不快だと20kHzの長い音を出します。どちらも人間の耳には聴こえないので、特殊な装置で録音する必要があります。ラットは快音声には接近し、不快音声からは遠ざかります。ラットがこのような「情動行動」を示す仕組みを探って、情動的なコミュニケーションの進化について知ろうとしています。
キンカチョウ
キンカチョウは父親のさえずり(歌)を忠実に学びます。キンカチョウのヒナは、父親の歌をじっくり聞いて覚えます。そのとき、脳内のドパミンが重要な役割を果たしています。ヒナが歌を学ぶ過程を明らかにして、社会的な学習の仕組みを知りたいと思います。
テナガザル
テナガザルは歌をうたってさまざまな社会的メッセージを伝え合っています。どのような状況でどのような歌をうたうのかを調べて、歌がどのように社会の調整に役立っているのかを知りたいと思います。
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研究成果

原著論文

実際のスクロールの挙動は、プレビュー/公開ページでご確認ください
Hakataya, S., Katsu, N., Okanoya, K., Toya, G. An exploratory study of behavioral traits and the establishment of social relationships in female laboratory rats. PLoS One, 18(12), e0295280, 2023. doi:10.1371/journal.pone.0295280[査読付論文]

Iizuka, T., Mori, C., Okanoya, K. Song-related brain auditory activity in Bengalese finches as examined by immediate early gene expressions: Comparison of arousal states and the correlational analyses between brain regions. Neurosci Res, 192, 56-62, 2023. doi:10.1016/j.
neures.2023.01.014[査読付論文]

Inoue, Y., Sinun, W., Okanoya, K. Non-aggressive inter-group interactions in wild Northern Gray gibbons (Hylobates funereus). acta ethologica, 26(1), 59-74, 2023. doi:10.1007/s10211-023-00415-7[査読付論文]

Kato, A., Ohta, K., Okanoya, K., Kazama, H. Dopaminergic neurons dynamically update sensory values during olfactory maneuver. Cell Reports, 42(10), 113122, 2023. doi:10.1016/j.celrep.2023.113122 [査読付論文]

Kondoh, S., Fujimura, T., Nakatani, H., Muto, S., Nonaka, Y., Okanoya, K. Experiencing respect elongates the orienting response: a pilot study. Discover Psychology, 3(1), 17, 2023. doi:10.1007/s44202-023-00075-5[査読付論文]

Nakai, T., Rachman, L., Arias Sarah, P., Okanoya, K., Aucouturier, J.J. Algorithmic voice transformations reveal the phonological basis of language-familiarity effects in cross-cultural emotion judgments. PLoS One, 18(5), e0285028, 2023. doi:10.1371/journal.pone.0285028[査読付論文]


総説・解説

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岡ノ谷一夫. (2023). 音声コミュニケーションと脳の進化. Clinical Neuroscience, 41(12), 1594-1598.

Fujii, T. G., Coulter, A., Lawley, K. S., Prather, J. F., & Okanoya, K. (2022). Song Preference in Female and Juvenile Songbirds: Proximate and Ultimate Questions. Frontiers in Physiology. Frontiers in Physiology, 13, 876205. doi:10.3389/fphys.2022.876205 [査読付総説]

岡ノ谷一夫. (2022). 鳥類の聴覚と発声. 研究報告音声言語情報処理 (SLP), 2022-SLP-142(3), 1-2.

 

講演・学会発表

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岡ノ谷一夫 (2023.12.9) 言葉の起源の生物進化仮説、第40回日本感覚統合学会研究大会、奈良。

岡ノ谷一夫 (2023.9.14) 動物コミュニケーションから学ぶ言葉と心、特別区人事厚生事務組合専門研修、飯田橋、東京。

Okanoya, K. (2023, 7.24) Domestiation as a path to signal complexity in birdsong, Israel Institute of Advanced Studies, Jerusalem, Israel.

岡ノ谷一夫 (2023.6.23) 言葉の起源とコミュニケーション、第24回日本言語聴覚学会、愛媛。

岡ノ谷一夫 (2023.6.21) 動物のコミュニケーションと言語の起源、ちとせ橋コミュニティ塾、東京。

 

図書

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岡ノ谷一夫. 私の心と動物の心. In 帝京大学先端総合研究機構(編集), 未来を拓く「自分流」研究(pp.130-147). 東京: 帝京大学出版会, 2023. 

その他

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浅島誠・岡ノ谷一夫(編著)(2023). 自分流の研究が未来を拓く、帝京大学出版会。 

研究成果アーカイブ

著書紹介(本屋さんに行こう)

言葉はなぜ生まれたのか
小学4年生でも楽しく読めるように書きました。言語起源の前適応説と音列状況相互分節化仮説にもとづく言語起源論です。ジュウシマツ、ハダカデバネズミ、テナガザルなどが登場します。石森さんのイラストが理解を促進します!
ハダカデバネズミ
ハダカデバネズミについての最初の日本語の本です。音声コミュニケーションの哺乳類モデルとして最適と考え、約10年間この動物の研究をしていました。デバが鳴き交わしで互いの階級を掌握していることが、最大の発見です。デバをめぐるさまざまなエピソードと共にどうぞ。
脳に心が読めるか
2017年から2年間、読売新聞読書委員をやっておりました。そのときに読んだ本、その後に読んだ本、その前に読んだ本、合わせて90冊を(できれば100冊にしたかったんだけど)、読みなおしてみて、すべてが脳と心の文脈で腑に落ちました。そんな読書記録です。
言葉の誕生を科学する
小説家の小川洋子さんが、私の研究室を訪問してくれました。そのときたいへんに気が合って、何度か対談する機会を得ました。小川さんの純粋な質問に、私が呻吟している様子がほほえましいです。その後にわたる研究のアイデアがつまっています。
進化言語学の構築
言語の起源と進化の研究グループを日本で立ち上げよう。盟友、藤田耕司氏とそう決めて、日本中から面白そうな人を集めて本にまとめました。この本の出版をきっかけに、科学研究費新学術領域「共創言語進化」が始まりました。
本棚から読む平成史
今をときめく政治学者、牧原さん。行動するノンフィクション作家、梯久美子さん。尊敬するお二人と、じっくりと本を読み合い、語り合いました。平成という時代が昭和を着地させるのにいかに苦しんだのか。よくわかってきます。
さえずり言語起源論
私の処女作「小鳥の歌からヒトの言葉へ」の改訂版です。小鳥のさえずり研究から人の言語の起源を考えるに至る研究の足跡です。一緒に研究した学生さんたちのエピソードを交え、まるでサークル活動のように楽しい研究の日々をつづっています。
つながりの進化生物学
高校生たちへの4回の講義をもとにまとめた本です。題目は、コミュニケーションの定義を進化生物学から借りてきたのでこのようになっていますが、今なら「つながりの生物心理学」にするかも。意識の起源について語ったのはこれが初めて。
言語進化学の未来を共創する
盟友藤田耕司との編著2冊目。新学術領域「共創言語進化」で考えてきたことを、若手研究者とともにまとめました。巻末の座談会は、なかなか実存的で面白いですよ。
未来を拓く「自分流」研究
浅島先生とまとめた本です。帝京大学に異動してきてから、先端総合研究機構が主催してきたセミナーを書き起こし、さらに講演した先生に推敲してもらったものです。学問の多様性と研究者の個性が楽しい本です。
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